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私もあるとき
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最近観た「空気人形」という映画で
吉野弘さんの「生命は」という詩を知りました。
長い詩なので、好きな四行を抜粋しておきますね。

「私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない」


(全文は続きで)
 
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されでいるのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光をまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない
10/09 | 小さな声で
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